本研究では中性子非弾性散乱測定を用いて高い超伝導転移温度を有する電子ドープ型1111型鉄系超伝導体REFeAsO1-xDx(RE = 希土類元素)のスピン揺らぎを観測し、鉄系高温超伝導の起源を明らかにすることを目的とした。まず低温で反強磁性を示すLaFeAsO1-xDx(x = 0,0.5)中のスピン散乱を観測することで電子ドーピングによってスピン揺らぎが増強されること,またFeのab面内の異方性が小さくなることに起因してスピンギャップが消失することが明らかにした.また,希土類位置を小さくすると,1111構造が徐々に不安定になり電子ドープで構造を安定化できることも新たに明らかになった.
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