物質に電圧を印加すると、電圧に比例した電流が生じます。このよく知られた「オームの法則」とは対照的に、電流が電圧に比例しない現象は非線形伝導と呼ばれ、ダイオードやトランジスタのように、非線形伝導は現代のエレクトロニクスを支える基幹技術として普及しています。本研究では、電気抵抗だけでなく、熱電能(ゼーベック係数)が電流によってどのように変化するか(非線形ゼーベック効果)を実験的に測定するシステムの開発を進め、有機導体において電流によってゼーベック係数の絶対値が増大するという非自明な振る舞いを観測しました。また非線形伝導測定の問題点となる自己発熱の問題に対し、新たな温度評価手法の開発を行いました。
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