研究課題
若手研究
電子散乱実験による陽子荷電半径の測定を行うために、新しい接続角度が可変な散乱槽の開発を行った。シミュレーションから新散乱槽を原因としたバックグラウンドの起源や量を確認し、その結果をもとに十分にバックグラウンドを低減するように形状を最適化した。テスト機を作成して 10-5 Pa 程度の高真空が得られることを確認した。これらの成果から新散乱槽の設計を完了し、実用に耐えることを確認した。
原子核物理
接続角度可変な散乱槽の需要は電子散乱に限らず、高エネルギーのハドロン-ハドロン散乱実験や軟X線分光など多岐に渡る。使用されている手法としてはベローズ式やSUS膜を真空シールドに使用した SM 式が挙げられるが、ベローズ式は変更可能角度が小さく(~50°)、SM 式は到達真空度が低く(~10-3 Pa)、度々真空漏れを起こすなどの問題を抱えている。両者の持つ欠点を克服した新しい本散乱槽を開発したことで、多くの実験で実験品質の向上が見込める。