探査機はやぶさが小惑星イトカワから持ち帰った微粒子の表面は、宇宙空間で物質が変化した履歴(宇宙風化と呼ばれる)が刻まれている。本研究では硫化鉄(鉄と硫黄の化合物)に着目して、硫化鉄の宇宙風化組織の観察を行った。観察の結果、地球外物質では全く知られていない、ひげ状に伸びた金属鉄の結晶を硫化鉄表面に発見した。金属鉄のひげ状結晶は、太陽から吹き出した荷電粒子である太陽風の打ち込みが硫化鉄(FeS)を分解させ硫黄を選択的に消失させることで成長したと推定した。この考察から、荷電粒子の照射は宇宙における硫黄と鉄の化学進化に大きな役割を果たした可能性を示した。
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