スロー地震は沈み込み帯の歪蓄積・解放プロセスの一翼を担っているため,その活動を把握することが将来の巨大地震発生の検討に向けて重要である.陸上の観測網で捉えられる深部スロー地震は20年を超える観測実績がある一方,海域の観測網で捉えられる浅部スロー地震の観測の歴史は浅い.海域観測が整備される以前の浅部スロー地震活動を陸上観測網を用いて復元する試みがされているが,本研究結果は陸上観測網で検出されないことが必ずしも現象が発生していないことを意味しないということを指摘しており,これまでの研究の解釈に注意を喚起している.
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