本研究では,乳房組織内の微小な腫瘍組織を描出するために,従来よりも高感度な小角散乱に基づくX線イメージング手法を提案した.提案手法に基づく装置を高エネルギー加速器研究機構(KEK)に構築し,腫瘍組織の撮像実験を通じて有用性を実証した.また,撮像データから高精度に小角散乱を推定するデータ処理手法を合わせて開発した.本手法を用いて,初年度は小角散乱の検出限界を評価した.その結果,微小カーボン粒子密度約0.07g/ml以上の描出能を持つことが分かった.また,実際に乳癌を有す乳腺組織を撮像し,石灰化が存在しない乳癌の領域にコントラストをつけることができた.
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