研究課題/領域番号 |
18K13960
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
福田 厳 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (10734478)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | OZT密度 / 衝突ゾーン / バーチャルブイ |
研究実績の概要 |
これまでの研究過程において、推定結果を用いて自船の行動を判断する際に、おおよそ危険な場所は判断できるが、それをどのように自船の行動に結びつけていけば良いのかが難しく、また本研究で進めているバーチャルブイなどの海上交通への効果を確認することも難しいことの指摘を受けた。そこで、昨年度は OZTを計算する方法およびOZT密度を計算する方法について、より船舶に乗船している運行者から見た形にするための新しい方法を考案し、東京湾入り口付 近に設置されたバーチャルブイによる整流効果を推定した。昨年度は本結果を海外ジャーナルに投稿し、今年度に査読を経たのちTransNav Journalにおいて発表することができた。本論文では東京湾入り口付近に設置されたバーチャルブイの効果を、提案手法で分析した結果と過去の衝突事故を比較しているものである。過去に船舶の衝突が発生した付近はOZT密度が相対的に比較したときに、最も高い値ではなく、ある一 定値付近にあることが判明した。これにより、OZTつまり衝突ゾーンが多く発生しているような海域では航海士は注意して航行しているため過去に衝突が発生していないが、OZT(衝突ゾーン)は発生しているが、そこまで高い値が出ていない場所では、航海士が不注意となり衝突が発生している可能性があることを示すことができた。これは、船舶の衝突の原因の8割が人為的要因であることの裏付けにもつながる。また、バーチャルブイ設置後の交通流として、バーチャルブイ3号(一番太平洋側)付近では東京湾から千葉方面に向かう船舶および東京湾に入港する船舶同士で新たにOZT密度が相対的に高い海域が発生しており、この値が過去に衝突のあった場所のOZT密度と近いことが判明した。この海域は今後、継続的に分析していく必要があると結論づけた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度に研究代表者の転職により研究機材を一から揃える必要が生じたこと、また当初想定していた研究結果とは異なる結果となり、推定方法の変更を行なったため、2020年度までは研究計画から遅れを生じていた。しかし、2020年度に新たな推定手法を開発し論文投稿まで進めることができ、2021年度にその論文が受理され発表できたことが理由となる。これまでの研究成果および研究過程から、AISを用いた分析において課題を見出すことができ、その成果をまとめ論文投稿の準備を進めているため最終年度をさらに1年延長した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果および研究過程から、AISを用いた分析においての課題を見出すことができたため、その成果をまとめることができ論文投稿の準備を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において、所属する日本の全ての学会が遠隔での実施になったこと、Polandで開催されたTransNav2021が遠隔となったため残額が出た。また、これまでの研究成果および研究過程から、AISを用いた分析において課題を見出すことができ、その成果をまとめ論文投稿の準備を進めている。次年度は主として当該論文の英文校正および学会・論文発表のために予算を使用する計画である。
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