前年度まで) 2種類(SUS製、PTFE製)の一流体噴霧ノズルについて、ミネラルスピリットと各濃度の導電性添加剤の混合液体を用いて、噴霧帯電量と導電率の関係を調査した結果、どちらのノズルについても、導電率10-8 S/m付近で噴霧帯電量がピークとなることを確認した。ただし、噴霧帯電量のピーク値は、PTFE製ノズルがSUS製ノズルよりも一桁程度大きくなった。なお、SUS製ノズルでは、10-6 S/m以上の高導電率でも噴霧帯電量の上昇傾向が見られた。さらに、同様の噴霧帯電量測定を導電率が異なる4種の液体(酢酸エチル、エタノール、水道水、n-ヘキサン)についても実施結果、PTFE製ノズルでは、酢酸エチル(導電率10-8 S/m)の帯電量が最大となった。一方で、SUS製ノズルでは、エタノール(導電率10-6 S/m)の帯電量が最大値を示した。このような傾向は、混合液体を用いた実験結果とも概ね一致する。上記に加え、同径のノズルでは液体タンク内圧力が高いほど、同圧ではノズル径が小さいほど、液体の比電荷(質量当たりの液体の帯電量)が大きくなること、2流体ノズル使用時の噴霧帯電量は1流体ノズルと同等以上となることを確認した。
最終年度) 酢酸エチル以外の3種類の酢酸エステル(酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル)について噴霧帯電量の測定を実施した結果、3種類全てが酢酸エチルと同等以上に大きく帯電することが確認できた。また、ノズルへの電圧印加による噴霧帯電量低減効果を調査した結果、導電率10-6 S/m以上の高導電性液体については、ノズルへの電圧印加により噴霧帯電量をコントロール可能であることが確認できた。研究期間全体を通じて、噴霧帯電量が大きくなりやすい液体の種類、噴霧条件の傾向を明らかにするとともに、一部の液体については噴霧帯電量を低減する方法を提案し、その効果が確認できた。
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