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2019 年度 実施状況報告書

水道電界通信を用いた断水検出システムの構築に関する検討-水道網の電気等価回路化-

研究課題

研究課題/領域番号 18K13975
研究機関熊本高等専門学校

研究代表者

芳野 裕樹  熊本高等専門学校, 電子情報システム工学系TEグループ, 助教 (30707914)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード環境電磁工学 / 電磁両立性 / 等価回路 / 電界通信 / 災害対策
研究実績の概要

震災等による災害時、水道管の破損による漏水や断水が発生する場合がある。現在、水道事業者がこれらを検出するためには担当者が現地に赴いて水道メータの確認などを行う必要があり、迅速な情報収集の妨げとなっている。本研究の目的は災害時の早期復旧のため、水道を通信経路として利用し、室外に配置されている水道メータの情報を水道、室内無線LAN、インターネット経由で水道局に送信する水道電界通信システムの実現に向けて、水道の伝送特性を明らかにし、水道網を等価回路化することである。本年度においては研究計画における「流水速度による伝送特性への影響」「水道の形状による伝送特性への影響」「電磁界解析ソフトウェアを用いた検討」を遂行した。
水道水の流水速度による伝送特性への影響は漏水や断水の検出のために重要な情報となる。よって本年度は流水速度によるインピーダンスの変化を流水計とネットワークアナライザで測定し、その伝送特性を明らかにした。
水道の形状による伝送特性への影響については水道管の形状・寸法および水道網の構造によるインピーダンスの変化をネットワークアナライザで測定し、伝送特性を明らかにすること意義がある。本年度はL字構造・T字構造・太さの違う水道管における伝送特性を明らかにした。
また、電磁界解析ソフトウェアの導入は研究計画3年目に予定しているが、当該ソフトウェアのlight版が存在し、操作・使用方法の習熟やシミュレーションモデルの制作が可能であったため、それを利用し計画3年目の遂行の準備を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1年目および2年目において検討の順番が一部前後したが、2年目までに予定されていた研究計画中の「水道中の異物による伝送特性への影響」「流水速度による伝送特性への影響」「水道の形状による伝送特性への影響」について検討を行い、このうち異物による伝送特性への影響については「Detection of inflow sediment in water for electric field communication using aqueduct」というタイトルで国際会議において発表し、論文を投稿している。流水速度および水道形状の伝送特性への影響については2020年度での発表を予定していたが、昨今の新型コロナウィルスによって学会発表・参加に大きな影響が出ており、現時点で当該年度における発表は未定である。状況によっては2021年度以降に発表することを想定している。
水道の等価回路化については研究計画1年目において水道の電気定数測定を実施しており、等価回路への代入による検討を実施済みであるが、計画3年目に導入予定の電磁界解析ソフトウェアにおいて制作したモデルの等価回路化機能が実装されているとの情報を得たため、「回路解析の妥当性評価上記の各条件において通信実験を行い、受信端末で測定した受信電圧を回路解析の結果と比較することで、その妥当性を評価する」に関しては3年目以降の電磁界解析の結果と比較・検討しつつ妥当性について評価を行い、成果を発表する予定である。
当該年度までの総括として研究計画はおおむね順調に進展しており、研究計画終了までに予定している検討を終了できる公算であるが、上述した新型コロナウィルスの今後の状況によってはこの限りではないと思われる。

今後の研究の推進方策

3年目の研究計画として電磁界解析ソフトウェア「SEMCADX(現在はSim4lifeに統合され、名称変更)」を用いた検討を予定しているため、現在導入の手続きを進めている。順調に状況が推移すれば6月末までには導入が完了し、検討を開始できると思われるが、これも新型コロナウィルスの影響でメーカー側の対応が遅れる可能性があるため、研究計画の遂行が後ろ倒しになることも考慮している。
導入が完了次第、水道電界通信に関する電磁界シミュレーションを実施する予定である。完全導体で模擬した電界通信用の送受信端末と水の電気定数を与えた水道モデルを作成し、送信端末から水道に電磁界を印可した場合受信端末に誘導する電圧をシミュレーションし、実際の実験結果と比較・検討する。また、Sim4lifeの機能を用いて水道モデルの等価回路化を行い、実際の測定値と比較して妥当性の評価を行う。
実際の水道を用いて電界通信を行うことを想定した場合、外乱の影響を考慮する必要があるが、その状況は多様であり、全てを実験によって検討するのは現実的ではないため、電磁界解析ソフトウェアを用いて水道電界通信の電磁両立性について検討する。具体的な一例としては実際の水道メータの多くが金属製のケース内に配置していることを想定し、箱状の完全導体内に送信端末を配置し、ケースを貫いて配置した水道を通信路とした場合に受信電圧にどのような影響がでるのか検討する予定である。
以上の内容をまとめ、水道の伝送特性および水道網等価回路化による水道電界通信システムの実現可能性について報告する予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究計画3年目において電磁界シミュレーションソフトウェア「Sim4life」の購入を予定しており、価格が税込みで約240万程度との見積もりが納入元より提出されている。このSim4lifeの購入費に充当するため、次年度使用額として申請する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Detection of Inflow Sediment in Water for Electric Field Communication Using Aqueduct2019

    • 著者名/発表者名
      Yuki Yoshino and Hajime Kuwazuru
    • 学会等名
      ICICIC2019/ISIoTMR2019
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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