研究課題
本研究では磁性材料の磁区構造と局所磁化曲線を同時に測定する手法を開発し、これらの計測・データ解析を機械学習と融合することで革新的な磁性材料開発基盤を構築する。磁性材料の磁気光学Kerr効果顕微鏡画像を外部磁場可変下で大量に撮影し、画像解析によって1ピクセル毎の局所磁化曲線の一括測定(およそ1,000,000箇所の磁化曲線の同時測定)を実現する。ベイズ推定などの情報科学手法を用いた測定の最適化、機械学習を用いた大規模実験データ・マイクロ磁気シミュレーションデータの解析によって磁性材料の磁化反転過程や保磁力発現に寄与する特異な相や微細構造の特定を試みる。本年度は主に次の研究を実施した。(1)磁気光学Kerr効果顕微鏡によるFORC測定システムの構築のため、顕微鏡の試料ステージに搭載可能な小型電磁石の改良を行なった。電磁石コイルの設計を工夫し2台の直流電源を用いることで、安価に正負の磁場掃引が可能なシステムを構築できた。本システムを用いて希土類鉄ガーネットの磁区構造の磁場による変化を観察した。このデータセットを解析することで、試料の異なる箇所の局所的な磁化曲線を大量かつ短時間に評価することが可能になった。(2)Kerr効果顕微鏡による磁区観察のための試料調整では、表面を高精度に研磨する必要がある。研磨には実験者の経験やコツが要求されるため、ハイスループットに磁区構造観察を行うためのボトルネックとなっている。そこで汎用ロボットアームを用いた研磨作業の自動化を試みた。手動研磨器と汎用ロボットアームを組み合わせて市販Nd-Fe-B磁石の表面を研磨したところ、これまで実験者が手動で研磨した試料と同等の磁区構造を観察することができた。(3)ハイスループット実験に向けて、計測インフォマティクスの観点から適応型実験デザイン法によるスペクトル測定の効率化に関する研究を行なった。
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