これまで肥満症や糖尿病などの代謝性疾患におけるエストロゲンの新規細胞膜上受容体GPR30の病態生理学意義は不明であったが、本研究にて、腸管のGPR30が脂質代謝調節に関与する可能性が明らかにされた。従来のエストロゲン受容体ERを介した脂質代謝改善作用に加え、本研究より明らかになったGPR30もまた、脂質異常症の新たな治療標的分子となり得る。これらの成果は、性ホルモンが代謝機能調節に関与することを示しており、今後、GPR30を標的とした新規治療薬創出だけでなく、大豆イソフラボンやエクオール等を含めた高機能性食品の開発を通じて、代謝性疾患の新たな予防・治療戦略の確立へと繋がることが期待される。
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