本研究では食品成分の動態学的特性に着目し、乳がん細胞の増殖抑制効果を明らかにすることにより乳がん補完代替療法としての食品成分の有用性を検証した。Phloretinをはじめとしたいくつかのポリフェノール類は乳がん細胞株の細胞生存率および乳酸輸送を低下させた一方で、乳がん細胞株に対する抗エストロゲン製剤タモキシフェンの感受性を低下させた。また、このタモキシフェン感受性の低下にはモノカルボン酸輸送担体MCT4の機能抑制が一部関与していることが示唆された。以上、MCT阻害作用を有するポリフェノール類は乳がん細胞に対して増殖抑制効果を示すが、一方で抗エストロゲン療法の感受性を低下させる可能性が示された。
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