ウイロイドは一本鎖RNAから成る植物に感染する病原体であり,現在30種以上が報告されている.同一種内にも多様な変異があり,これらの変異が植物の病徴発達に影響することが知られている.本研究ではキクにおける重大病原体であるキク矮化ウイロイド(CSVd)について,季節に応じた環境の変動がキク個体中のCSVd集団の構成に与える影響について調査した.4品種・3時点でCSVd集団構造とCSVd濃度を調査した結果,多数のCSVd系統を検出できたが,濃度や時点に関してCSVd集団構成との明瞭な関係性は見出せなかった.従って,これらの変異は環境要因とは無関係に,ランダムに生じたものだと考えられた.
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