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2019 年度 実施状況報告書

耐寒性からアスナロ属2変種の太平洋側・日本海側気候への適応分化を推定する

研究課題

研究課題/領域番号 18K14494
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

稲永 路子  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 研究員 (30757951)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードアスナロ属 / RNA-seq / 糖分析
研究実績の概要

2019年度は、林木育種センター(茨城県日立市)の遺伝資源保存園に植栽されたアスナロ属のうち、福島県郡山市熱海町石筵字岳山国有林および岐阜県大野郡久々野町に由来する各4個体、合計8個体から、2018年9月から2019年4月にかけて計12回採取した葉サンプルを使用し、RNA-Seqおよび糖分析の条件検討を行った。
全96サンプルからtotal RNAを抽出し、RNA-Seqを行った。林木育種センター所有のMaxwell核酸自動精製装置を利用したRNAの一括抽出に成功し、実験にかかる時間が短縮された。このため、2018年度に実施できなかったRNA抽出を短期間で終了し、計画通りにRNA-Seqを実施できた。データ解析は今年度後半に開始する予定であったが、解析ソフトウェアの再検討を行なうため翌年度に持ち越しとした。
糖分析では、可溶性糖類の個体内変動を定量的に評価するため、上記のサンプルのうち月1回、計8回採取分の葉サンプルを使用し、エタノールによる糖類の抽出を3反復行った。続いて、北海道大学所有の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による糖分析の条件検討を行った。予備的に泳動した9サンプルの結果では、アスナロ属の冬季の葉組織にはアラビノース等の単糖類、スクロース等の二糖類に加えて、針葉樹で耐寒性の上昇に伴い蓄積されることが知られているラフィノースが検出された。そこで、これらの糖を検出できるHPLC用カラムを選択し、検量線を作成するための標準液の調整を行った。
上記より、2019年度はトランスクリプトーム解析ではRNA-seqによるデータ取得、糖分析では試料の抽出作業および実験条件の検討という成果が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初計画では、2019年度前半にHPLCによる糖分析を行う予定であったが、実施時期を年度後半に延期した。このため、糖分析に関する実験スケジュール全体が約半年延期され、実際の分析作業は2020年度に持ち越しとなった。RNA-seqでは次世代シークエンサー解析が計画通り終了したが、統計解析の開始が遅れている。これらを総合的に判断し、今年度計画はやや遅れているとした。

今後の研究の推進方策

2020年度はHPLCによる糖分析を終了し、アスナロ属葉組織に蓄積される糖類の種類と量を、変種別、時期別にグラフ化する。RNA-seqの結果をcDNAデータベースにマッピングし、秋から春にかけて発現量が有意に変動する遺伝子を特定するとともに、先行研究から耐寒性に関連する遺伝子の候補を抽出し、アスナロ属の耐寒性制御において重要な役割を担う遺伝子を推定する。耐寒性に関連する遺伝子の発現、糖代謝に関連する遺伝子の発現、糖類の蓄積パターン、そして耐凍性試験による耐寒性の変動パターンを変種間で比較し、アスナロとヒノキアスナロが冬季の環境に対しどのように適応しているか考察する。

次年度使用額が生じた理由

前年度の使用残額は、HPLCによる糖分析が延期されたことに伴い、出張および物品購入が計画通り行われなかったために生じた。翌2020年度の請求分と合わせて、HPLCによる糖分析を行うための北海道大学への出張旅費および糖分析用消耗品の購入費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 2産地に由来するアスナロの低温順化過程における耐凍性の変化の比較2020

    • 著者名/発表者名
      稲永路子、遠藤圭太
    • 学会等名
      第67回日本生態学会大会
  • [学会発表] アスナロ属の耐凍性関連遺伝子のプライマー開発2020

    • 著者名/発表者名
      稲永路子、平尾知士、高田克彦
    • 学会等名
      第131回日本森林学会大会

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公開日: 2021-01-27  

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