ヒノキ科アスナロ属は日本の固有属であり、主に太平洋側に分布するアスナロと主に日本海側に分布するヒノキアスナロの2変種で構成される。両変種の冬季の耐寒性に差があるという仮説を検証したところ、低温順化中の11月から3月前半には差が検出されず、当初の仮説は否定された。一方9月から10月、および3月後半の耐寒性はわずかにアスナロが高く、アスナロ属では低温順化の前段階および脱順化後の段階で生育地への局所適応が起こっている可能性が示唆された。糖分析では産地間差が見られなかった。また発現遺伝子による比較を行うため、詳細なアノテーションを行なったcDNAデータベースを整備した。
|