Hepatozoon属は各種動物に固有の原虫種が寄生するが、イヌ寄生種は宿主に重篤な原虫病を引き起こすことがあり、獣医学上重要なマダニ媒介感染症としても知られている。本研究では、国内に広く分布し個体数が増加傾向にあるイノシシにおいて、高い感染率でHepatozoon属原虫が寄生していることを明らかとし、形態学的特徴ならびに分子特性に基づきHepatozoon apriとして種記載した。効率的に検出する核酸検出法開発を開発できたことから、今後、市販猪肉の汚染状況についての調査が加速すると思われる。本種はマダニの経口摂取により伝播するため、ブタへの感染リスクについても考慮すべきである。
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