近年、新規発生遺伝子の発生進化への役割が注目を集めつつある。しかし、新規発生遺伝子が発生の秩序を保ちつつ遺伝子制御ネットワーク (GRN)に組み込まれ、新規発生様式を制御する過程についての理解は乏しい。本研究ではらせん卵割動物が示すらせん卵割型発生および系統特異的転写因子群に着目した。軟体動物を用いた解析により、初期発生で発現する系統特異的転写因子群とそれらに制御されるであろう転写因子群を同定し、初期発生GRNの構成要素を明らかにした。また、系統特異的転写因子の一部はβカテニン経路により発現が制御されており、βカテニン経路への応答要素の獲得が、初期発生への組み入れに必要であることが示唆された。
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