脱皮ホルモンは昆虫類の脱皮・成長に必須のホルモンであることから、古くから農薬成分として農業分野で使用されてきた。その結果、ミジンコや農業益虫などの農薬の非対象生物である節足動物にまで影響がでてしまっていることが社会問題となっている。本研究からミジンコでは脱皮ホルモンが性分化(メスに成長するかオスに成長するか)に重要な役割を果たしていることが示唆されているが、農薬などの脱皮ホルモン成分によって生物が子孫を残すうえで非常に重要な形質である“性”を撹乱してしまう可能性があることは深刻な問題である。このように本研究を通して脱皮ホルモンの未だ知られていない生理機能を研究することには大きな意義がある。
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