生体のエネルギー通貨ATPは、細胞外へ放出されて細胞間情報伝達物質として機能する。脳虚血により細胞外ATP濃度が上昇することは知られているが、これが脳虚血障害に対して保護的に働くのか、有害作用をもたらすかは不明であり、また細胞外ATP濃度上昇のメカニズムも分かっていなかった。ATPの貯蔵や放出を担う小胞型ヌクレオチドトランスポーター(VNUT)は、さまざまな生理機能や病態でのプリン作動性シグナル伝達において重要な役割を果たしている。我々は本研究により、グリア細胞の一種であるミクログリアのVNUT依存的ATP開口放出が脳虚血障害に対して保護効果をもたらすことを明らかにした。
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