本研究は,近年国内では他に例をみないケモタキソノミーの基礎研究である.本研究の対象であるカヤツリグサ科植物は,日本国内の植物資源として各地に数多く自生しているにも関わらず,成分研究は数例しか成されていない。また、本科植物は、植物分類学上の分子系統研究でも解明の余地が数多く残る未利用植物資源である。今回、日本各地で採取したカヤツリグサ科植物に含まれる化学成分を詳細に検討し、天然物化学としては稀有な新規化合物の構造を明らかにするとともに、含有化合物を解析することで植物化学分類の基礎的知見を示した。また、生物活性試験の結果から、稀有な構造を有する化合物が特異な生理活性を示すことが明らかとなった。
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