増殖停止期にある出芽酵母細胞は中枢神経細胞など哺乳類の非分裂分化細胞のモデルと考えることができる。脂肪滴が細胞内に蓄積することは脂質代謝異常に密接に関与していることはよく知られているが、異常タンパク質の分解との関連を示す論文はほとんどない。リポファジーは酵母だけでなく哺乳類においても確認されており、関与する遺伝子も酵母から哺乳類まで保存されていると予想される。この研究により脂肪滴を介したタンパク質分解メカニズムが解明されれば、アミロイドβやα-シヌクレインの蓄積が原因となるアルツハイマー病やパーキンソン病、心筋細胞のDanon病などの病態解明だけでなく、予防や治療にもつながる可能性がある。
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