研究課題/領域番号 |
18K15361
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯田 円 名古屋大学, 医学系研究科, 学振特別研究員(RPD) (40815437)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 球脊髄性筋萎縮症 / Srcシグナル / アンドロゲン受容体 |
研究実績の概要 |
A.SBMAマウスモデルにおける化合物Xの効果 Y社のオープンイノベーションにより供与を受けた新規Src阻害薬XをSBMAマウスモデルに投与し、運動機能(体重、握力、Rotarodテストによる歩行機能など)や生存期間の分析を行った。既報告を参考にして2.5mg/kg/day、5mg/kg/dayもしくは10mg/kg/dayの化合物Xをゾンデを用いて経口投与(週5回)し、vehicle投与群と比較した。さらに25mg/kg/dayもしくは50mg/kg/dayの化合物Xを週3回の頻度で腹腔内へ投与した。上記の条件のうち、10mg/kg/dayの化合物Xを投与することによりAR-97Qマウスの表現型の改善をみとめた。またSBMAの病態におけるSrcシグナル活性化のメカニズムについて検討した。Srcとアンドロゲン受容体(AR)の結合部位を欠損させたSrcもしくはARを細胞に一過性強制発現させるとSrcのリン酸化が低下し、SBMAのSrc病態においてARとSrcの相互作用が重要であることが示された。 B.運動ニューロンー後根神経節(DRG)ネットワーク変性の解析 CAGリピートが97個に延長したヒトアンドロゲン受容体配列の前後にloxP配列を挿入し、C末端にNanolucルシフェラーゼ配列をもつ全長約4.5kbpの人工遺伝子を合成中である。Thermo Fisher Scientific社のGeneArt遺伝子合成にて作成された、4つのFragmentに分かれた人工遺伝子をIn-fusion cloning(Clontech)を用いて融合する。この全長約4.5kbpの人工遺伝子をマウス受精卵にインジェクションし、AR-floxマウスを作成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
A.SBMAマウスモデルにおける化合物Xの効果 投与方法や投与量において様々な条件を試行し、SBMAモデルマウスの表現型改善における化合物Xの至適用量を見出した。またSBMAの病態におけるSrcシグナル活性化のメカニズムについて検討し、SBMAのSrc病態においてARとSrcの相互作用が重要であることが明らかとなった。 B.運動ニューロンー後根神経節(DRG)ネットワーク変性の解析 当初の予定よりもやや遅れているが、課題Aが予定よりも進んだため、次年度は本課題に注力する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
B.運動ニューロンー後根神経節(DRG)ネットワーク変性の解析 DRGと感覚神経特異的にCre recombinaseが発現しているAdvillin-Cre driver mouseをAR-floxマウスと交配させ、DRGや感覚神経において変異ARが除かれたマウス(AR knock downマウス)を作成する。AR knock downマウスにおける運動ニューロンや骨格筋の変性についてウエスタンブロットや病理学的解析により解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 実験用マウスを無償で譲渡されたため未使用額が発生した。 (使用計画) 未使用額については令和元年度に行うマウス実験に使用する予定である。
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