アルツハイマー病(AD)は、認知症の60-70%を占め、先進国において最も金銭的コストが高い疾患となっている。Aβと呼ばれるペプチドが脳に凝集・蓄積することが本疾患の発症機構と考えられているが、根本的治療法は現在のところ確立しておらず、対症療法のみにとどまっている。近年になってAD患者の神経細胞膜表面に存在するGM1ガングリオシド(以下GM1)と呼ばれる糖脂質が、Aβの凝集を促進しADの病態形成に深く関わっていることがわかってきた。そこで本研究では、iPS細胞技術を駆使し、GM1をターゲットとした今までにない作用機序によるAD治療薬開発、およびAD病態形成におけるGM1の機能解明について探る。
|