研究課題
IgG4抗neurofascin155(NF155)抗体陽性慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)症例は、若年発症、振戦、遠位優位の筋力低下、深部感覚の低下、髄液蛋白の著明な上昇、MRIで高度の神経根肥厚、中枢神経病巣の合併など特異な病像を呈するため、均一な病態機序が存在することが推定される。IgG4NF155抗体陽性CIDPの発症機序に関して、T細胞の寄与および免疫遺伝学的背景を明らかにすることを目的として次のような研究を行った。①抗NF155抗体陽性CIDP35例、陰性CIDP37例、非炎症性神経疾患28例の髄液サイトカインを蛍光サスペンションビーズアレイ法で測定した。②IgG4抗NF155抗体陽性CIDP22例でHLA遺伝子タイピングを行い、日本人の健常対照と比較した。結果、①IgG4抗NF155抗体陽性CIDPは、非炎症性神経疾患群より有意に髄液CXCL8/IL8、IL13、CCL11/eotaxin、IFNγ、CCL2/MCP-1、TNFαが高値であった。特にCXCL8/IL8、IL13は抗体陰性CIDPよりも有意に高値で、髄液蛋白値と有意な正相関を示した。②IgG4抗NF155抗体陽性例は全例HLA-DRB1*15:01-DQB1*06:02もしくはHLA-DRB1*15:02-DQB1*06:01を有し健常対照より高率であった。以上よりIgG4抗NF155抗体陽性CIDP において、CD4陽性T細胞、特にTh2細胞が活性化していること、IgG4抗NF155抗体陽性CIDP症例において強いHLAクラスII拘束性が存在することを明らかにした。2019年度はこれらを論文化し、公表した。またHuman caspr-1のフラグメントを発現するcell lineを用いて、100例以上のCIDP症例の血清における自己抗体の有無を調査した。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 5件)
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