統合失調症患者における抗精神病薬の多剤大量投与は、患者の身体・精神機能の低下をきたすのみならず、医療経済学的な負担も大きい。近年精神科臨床の場において、脳機能の改善を図り減薬が取り組まれているが、その科学的根拠は乏しい。本研究では、統合失調症患者における、減薬による患者の脳機能の変化と臨床症状改善との関連を探索することを目的とした。全脳の機能的結合と抗精神病薬服薬量との相関を調査した結果、左内側眼窩前頭皮質と小脳左葉との機能的結合が、抗精神病薬服薬量と負の相関を示した。なお、機能的結合の縦断的変化と抗精神病薬服薬量の縦断的変化と関連を調べたが、有意な相関は認められなかった。
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