研究課題
「不安」や「恐怖」は危険な時に起こる感情で、状況を解決するために動き出す動機になるなど、生きていく上で必要かつ重要である。しかし、最近は社会の変化に伴い、人前で話す、といった今までと種類の異なる「不安」を感じる状況が増加している。過度の「不安」は健康的で充実した毎日を送る、という人として基本的な生活を送ることが難しくなることがある。また、苦手な状況を避け続けることで社会生活に問題を抱えると、不安障害やうつ病といった、色々な精神の病気を引き起こすことがある。つまり、健康な状態でも「不安」の調節はメンタルヘルス上重要となる。このような背景のなか、「マインドフルネス」というリラックス法が近年注目されており、専門書のみではなく、一般書でも取り上げられている。一方脳刺激法は臨床での応用を目指して様々な試みが行われており、経頭蓋直流電気刺激法(transcranial direct current stimulation: 以下tDCS)といった手法が注目されている。tDCSは装置自体がシンプルであり、比較的小さく、安い、といった大きな利点がある。2000年代になりtDCSによって脳の神経細胞の興奮を抑えたり、上げたりできることが明らかになって以降、世界的に論文数が増えており、様々な効果報告が増えてきている。この研究の最終的な目的は「マインドフルネス」に「tDCS」を組み合わせ、相乗効果を生み出す手法の開発である。そのため、脳の神経ネットワークの変化に注目し、マインドフルネスと同時にtDCSを施行した時の神経活動や気分・感情の変化などを調べることを目的とする。
1: 当初の計画以上に進展している
特定臨床研究であるため、認定臨床研究審査委員会の審査には時間がかかったが、承認後のデータ収集は極めて順調に進んでいる。2019年4月21日時点で予定症例数の約8割の登録が完了している。本研究と関連がある、統合失調症患者のメタ認知に関しての多施設研究は論文が受理された。
5月末までにデータ収集を終了、6月にデータ整理、および一次的なデータ解析を終了する。
特定臨床研究法の施行初年度であり、承認が2019年11月末と時間がかかり、研究の開始が遅れた。
すべて 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Schizophrenia Research
巻: 202 ページ: 426~428
10.1016/j.schres.2018.06.071
臨床精神薬理
巻: 21巻7号 ページ: 941-946
臨床精神医学
巻: 47巻8号 ページ: 915-918