研究実績の概要 |
2019年2月から6月にかけて、データ収集を行った。主要評価項目であるtDCSの刺激前後による前頭部のアルファ帯域の電流密度、試験実施中の有害事象の把握、tDCS施行前後で気分の変化、tDCS 施行前後の脳波による脳機能評価を行った。 2019年6月以降、収集したデータをもとに、focused meditationをトレッドミル上の歩行と組み合わせたものをTW-FMと呼び、その不安効果を検証した。結果、マインドフルネス+tDCS実刺激群は、マインドフルネス+tDCS偽刺激群と比較して一週間後の不安が減少した。マインドフルネス+tDCS実刺激群では、不安と関係がある前頭葉部位(前部帯状回)の脳波活動が変化した。そして一週間後の不安の減少率と前頭葉(前部帯状回)の脳波活動の変化率は相関を認めた。 これらの結果をまとめて、論文報告した(Scientific reports, 2021)。 2021-2022年は、本研究につながる前研究として行われていたうつ病患者を対象としたtDCS刺激部位による認知機能切り替え効果を検証した。結果、うつ病患者では課題切り替えの行動コストが増加したが、前向干渉の行動コストはうつ病患者と健常者で同程度であることがわかった。また、DMPFC を陽極にしたtDCS はDLPFC を陽極にしたtDCS と比較して、MDD 患者の反応時間を短縮させた。この結果に関しても論文発表した( Psychiatry and clinical neurosciences, 2022)。この経過を通して改良された脳波解析を経て治療前脳波(insula関連)で抗うつ薬の反応予測に関して報告した(Neuropsychobiology, 2022)。また、今後のtDCSとその活用方法に関してopinionとして発表を行った(Front Psychiatry, 2022)。
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