本研究では当初目標とした自閉症スペクトラム障害病態の解明には至らなかったが、その過程で新規な技術の開発に成功した。CRISPR/Cas13システムは、ゲノム情報を改変せずに遺伝子発現制御が可能な技術であり、現在利用されている遺伝子治療技術と比較してより安全な治療法の基礎となりうる技術である。また、新規に開発されたカルシウムシグナル阻害マウスは、オキシトシン受容体に限らず多くのGタンパク質共役型受容体研究に応用が可能である。Gタンパク質共役型受容体は昨今多くの疾患において注目される創薬標的であり、本計画で作出されたモデルマウスが今後の新規治療法開発の場において利用されることが期待される。
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