統合失調症患者の体細胞からiPS細胞を樹立し、大脳皮質および中脳を模した組織を分化誘導することで、統合失調症の病因となり得る前頭前皮質の発生異常とシナプス形成について検討することを目的とした。iPS細胞から誘導された大脳皮質様組織中に含まれる神経細胞層の形態的解析で、健常群と疾患群とで有意な違いは認められず、統合失調症では大脳皮質の発生に異常はないことを示唆する結果となった。次にドーパミン神経細胞、更に中脳ドーパミン神経からなる組織を誘導し、中脳の発生に関する解析を行う予定であったが、分化効率が低く、解析を行うに至らなかった。より効率よく分化誘導を行えるよう、実験条件の検討を行う必要がある。
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