研究実績の概要 |
Z軸方向に広いビーム幅をもつX線CT装置の出力測定において,ビーム幅および回転速度に影響しない新しい出力測定方法を開発した.X線の出力は,X線管に印加された管電圧,管電流,照射時間,ターゲットの材質に依存し,理論的には照射野の大きさに依存しない.しかし実際に測定すると,照射野に依存してX線の出力は増減する. アイソセンターに設置した線量波形の取得が可能な電離箱線量計(6 cc)を用いて,4種類の管電圧(80, 100, 120, 135kVp),4種類のZ軸方向の照射野(40, 80, 120, 160 mm)を組み合わせて空気カーマ率を取得し,各管電圧にて照射野が0 mmとなる空気カーマ率(K0-w/o-A)を外挿法にて算出した.同様に,ガントリー下部に鉛で作成したコリメータを作成してX軸方向の照射野を制御し,開口部を40 mmから80 mmまで8 mmずつ増加させて散乱線量率を変化させ,X軸方向の照射野が0 mmとなる線量率(K0-w-A)を算出した.その結果,いずれの管電圧においてもK0-w/o-AとK0-w-Aが一致していることが判明し,これらは直接線を示していると考えられた. 直接線と散乱線を分離して測定できることから,上記の結果は散乱-直接線比の取得が可能であることを示しており,非常に有意義な結果であるといえる.ビーム幅に影響しないX線CT装置の出力測定法は,Journal of Applied Clinical Medical Physicsに掲載された.またCRおよびFPDを用いたX線ビーム幅測定法を開発したが,本手法も日本放射線技術学会雑誌に掲載された.これらは非常に有意義な結果であるといえる. 今後は6 ccの電離箱以外の半導体線量計や,より小容積電離箱式線量計にて同じ結果が得られるかどうか,調査の必要がある.その点が今後の課題である.
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