近年,冠動脈プラークの進展において外膜vasa vasorum(VV)やプラーク内微小管腔構造(MS)の役割が注目されている.本研究は未固定遺体を用い,冠動脈プラーク性状とMSおよび心臓周囲脂肪(EAT)内炎症物質を評価することにより、冠動脈硬化症の病態および進展機序を解明することを目的とした。MSを有する部位は有さない部位と比較して炎症性物質の発現が多く,外膜VVの密度も高いことが示された一方で,プラーク占有率に関しては両群で有意差がつかなかった.以上より,冠動脈硬化進展の初期段階から局所のEATは増大し,それに続いてEAT内炎症性物質がMSを介してプラーク進展に関与する可能性が示唆された.
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