本研究の目的は、左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)の病態形成に血管平滑筋細胞のSTAT3経路が重要な役割を果たしている可能性を証明することである。そこで申請者は平滑筋特異的SOCS3-KOマウスを使用し、加齢に伴う変化を評価した。その結果、心エコー図検査ではKO群では有意に拡張障害が出現し、肉眼的にも心肥大、心外膜肥厚を認め、心臓重量/体重比も有意に上昇した。さらに、KO群では加齢に伴い有意に心外膜肥厚および心筋線維化をきたしており、STAT3の活性化も有意であり、血清IL-6の有意な上昇も認めていた。以上より、慢性炎症に伴うSTAT3の活性化が強く関与している可能性が考えられた。
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