糖尿病では、徐々にインスリン分泌能が低下するβ細胞機能不全が生じるが、その一因として近年提唱されたβ細胞脱分化に着目して新規糖尿病治療の開発を目指した。まずは食事中の主要栄養素バランスとβ細胞脱分化の関係に注目した。脂質含有比の多い飼料(HF)と、糖質含有比の多い飼料(HC)を肥満モデルマウスのdb/dbに投与したところ、体重低下作用や耐糖能改善に両群の差はなかったが、HF群の方が脂肪肝およびβ細胞脱分化は改善傾向にあった。HF群に比べHC群の肝臓では中性脂肪・コレステロール合成関連遺伝子発現が増加しており、肝脂肪含有量が増加していた。摂取栄養や肝脂肪がβ細胞機能に影響を与えると予想された。
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