多様な進展経路を持つ進行胃癌の治療成績を改善するには、新規分子標的治療薬と鋭敏でかつ病態を反映し得る腫瘍マーカーの開発が望まれる。本研究ではmelanotransferrin (MELTF) に着目し、その胃癌の診断・治療の両面における臨床応用の可能性を追求した。MELTFのノックダウンにより胃癌細胞の各種活性が低下し、マウス皮下腫瘍モデルでの造腫瘍能も抑制された。外科切除標本でのMELTFの免疫組織化学染色により原発巣組織中MELTF発現度が切除後予後と密接に関連すること、ELISA法より測定した血清中MELTF値は胃癌病期の進行に伴って上昇し予後マーカーとなることを見出した。
|