腹腔内に豊富に存在する脂肪細胞と胃癌細胞や腹膜中皮細胞との、細胞外小胞(Extracellular Vesicles; EV)を介した細胞間情報伝達に着眼した。脂肪細胞と胃癌細胞との共培養で胃癌細胞株の遊走能が有意に上昇した。共培養前後の脂肪細胞の発現変化を網羅的に検討し、IL6やCXCL1などの炎症に関与する分子群の上昇を認めた。共培養した脂肪細胞から放出される EV内にこれらの分子が内包されていることを確認した。大網における上記分子の発現は腹膜播種や細胞診陽性症例で有意に高値であった。脂肪細胞と胃癌細胞の間には細胞間情報が存在し、胃癌腹膜播種に関与している可能性が示唆された。
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