研究課題/領域番号 |
18K16359
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
橋本 直佳 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40768967)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 胃癌 / 免疫チェックポイント阻害薬 / 腫瘍内不均一性 / 免疫染色 / オンコパネル |
研究実績の概要 |
胃癌の転移形式としては、リンパ節転移、腹膜転移、血行性転移が挙げられ、これら転移を有する進行胃癌に対しては、化学療法を含めた集学的治療がなされるが、原発巣と転移巣との間で治療効果の解離を経験することは珍しくない。これは原発巣と転移巣の間にHeterogeneityが存在するためと考えられる。現在、胃癌に対して免疫チェックポイント阻害薬が有効であることが示され注目を集めているが、免疫チェックポイント阻害薬の効果予測因子についてこのHeterogeneityを検討した報告はない。本研究では、胃癌原発巣と転移巣(リンパ節転移、腹膜播種、肝転移)のHeterogeneityについて検討し、今後バイオマーカーとなりうる蛋白発現および遺伝子変異を探索することを目的としている。胃癌の原発巣とリンパ節転移巣および腹膜播種巣については、当科で手術した胃癌切除検体を用いて免疫染色により評価した。リンパ節転移については103例、腹膜播種巣については48例の試料を収集し、免疫チェックポイント阻害薬のバイオマーカーであるミスマッチ修復因子(最も代表的な因子であるMLH1およびMSH2)と免疫チェックポイント分子PD-L1発現について免疫染色を施行した。また、胃癌肝転移切除症例は極めて稀であるため、「胃がん肝転移症例(同時性、異時性)に対する化学療法施行後のsurgical intervention に関する第II相臨床試験(UMIN000011445)」の試料を用いて、附随研究として試料取集を行っている。目標症例数は肝切除施行50例であり、現在43例の肝切除が施行された。このうち25例については試料収集が完了し、免疫染色を行った。今後、免疫染色結果の評価および解析を行い、NCCオンコパネル解析を用いて胃癌原発巣と転移巣の遺伝子異常におけるHeterogeneityについても検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に用いる試料収集はほぼ完了しており、免疫染色についても今後追加となる肝転移巣約10例以外は完了している。進捗状況は順調であり、今後DNA抽出およびオンコパネル解析を行い、最終解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本試験で評価を行う原発巣と肝転移巣のHeterogeneityについては、胃癌肝転移症例に対する多施設共同研究の付随研究として試料収集しており、約10例の追加が見込まれる。この追加となる試料についても、これまでと同様に免疫染色およびオンコパネル解析を行う予定である。
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