慢性期のB型大動脈解離やA型解離術後の残存解離に対する、薬物療法の瘤径拡大抑制効果は一定でない。一方、遺伝性疾患を除き、大動脈解離の発症・進展は、高血圧を背景に、慢性炎症を基盤とした動脈硬化に起因する。抗生物質のクラリスロマイシン(CAM)は、抗菌作用だけでなく「抗炎症作用」などの多面的効果を持つことが分かっている。本研究では、大動脈解離における一連の炎症反応を是正する新たな薬物介入療法として、CAMによる大動脈解離の発症予防及び瘤径拡大抑制効果について、その是非を明らかにすることを目的とした。CAM投与は抗炎症作用および細胞外基質の改善を介して解離性大動脈径拡大を抑制する可能性が示唆された。
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