慢性期の神経障害性疼痛ラットでは、新たに加えた足底切開による疼痛の遷延化がみられた。正常な術後痛の回復過程において重要なノルアドレナリン作動性神経系およびムスカリン性コリン作動性神経系による鎮痛作用がこれらの動物では消失していた。抗うつ薬アミトリプチリンを5日間連続投与すると、減弱化した内因性鎮痛機能を中期的に回復させることが可能であった。周術期にアミトリプチリンを13日間連続投与させると、足底切開後における痛みの遷延化を改善させたが、その機序にはノルアドレナリン作動性神経系ではなく、ムスカリン性コリン作動性神経系が有意に関与していた。
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