研究課題
若手研究
昨今、世界中で虚血性心疾患に罹患する患者が増加している中で虚血性心疾患,とりわけ心臓虚血再灌流傷害に対する心保護戦略の確立は極めて重要な課題である.虚血性心疾患に対する心保護戦略には吸入麻酔薬などによる薬物による介入と直接冠動脈を虚血にする虚血プレコンディショニングといった非薬物による介入がある.本研究では心臓虚血再灌流傷害に対する非薬物介入の一つである遠隔虚血プレコンディショニングの未知の機序の解明として,非アシル化グレリンが遠隔虚血プレコンディショニングの液性保護因子の一つとして心筋細胞内のシグナル伝達を活性化し心臓虚血再灌流傷害を減弱させる可能性があるが明らかになった.
麻酔科学
本研究の結果は遠隔虚血プレコンディショニングの機序の解明の一助となり,今後さらなる心臓虚血再灌流傷害に対する心保護戦略へ貢献し得るものである。現在の遠隔虚血プレコンディショニングの臨床応用では成人に比べて小児を対象とした臨床研究で有効とされているが、本研究の結果は小児だけでなく成人においても遠隔虚血プレコンディショニングの心臓虚血再灌流傷害に対する新たな心保護効果を確立し, RIPCを確かな臨床応用へと発展させるものと考えられる.