外傷による大量出血の患者を救命するには、緊急手術による止血に加えて、ショック後に生じる多臓器不全に対する集中治療が鍵となる。しかし、大量出血により生じる多臓器不全は、その発症機序が完全には解明されておらず、現在までに有効な治療方法もない。我々は、外傷により生じる多臓器不全と、腸で産生される炎症性物質の関連を研究してきた。具体的には、出血後に腸で産生されるエクソソームと呼ばれる小粒子が、肺などの臓器に炎症性物質を運ぶ可能性を発見した。今回の研究では、多臓器不全の診断や治療ターゲットとなり得るエクソソーム内の炎症性物質を脂質、タンパク、マイクロRNAに注目し解析した。
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