頭部外傷患者では、遠隔臓器において全身性合併症を来たすことは良く知られている。中でも頭部外傷後の肺障害は、予後に直結する重大な合併症であるが、発生機序はいまだに不明点が多い。動物モデルにおいて、頭部外傷直後に血液中の凝固カスケードの活性化が見られた。肺障害に関しては、頭部外傷直後より組織学上肺障害が確認され、頭部外傷後60分まで持続した。一方で、肺障害の機序として考えられているカテコラミンの上昇や循環動態の変動がなく肺障害を合併した症例を報告し、頭部外傷直後より血液中の凝固カスケード活性化を伴う症例を確認した。肺障害の発症機序として凝固カスケードの活性化が関与していることが示唆された。
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