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2018 年度 実施状況報告書

脳梗塞マイクログリアの網羅的機能解析:そのダイナミクスと治療応用

研究課題

研究課題/領域番号 18K16587
研究機関愛媛大学

研究代表者

松本 調  愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (30772503)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード脳梗塞 / マイクログリア / eat-me signal
研究実績の概要

我々はラット中大脳動脈一過性閉塞による脳梗塞モデルを用いて、梗塞中心部で骨髄由来マクロファージ様細胞が増殖・集積し、特にNG2プロテオグリカン(NG2)を発現する一群の細胞は虚血による組織障害の増悪を防ぐことを示してきた。しかし、脳梗塞などの重症脳障害では、血流中から傷害脳組織に浸潤するマクロファージのほかに、脳常在性活性型のマイクログリアと、さらに傷害巣から離れて存在する静止型マイクログリアが貪食細胞あるいは抗原提示細胞として存在しているが、それぞれの役割については未だ未解明な点が少なくない。さらに、重症脳障害では全身性の反応を伴うと考えられるが、非傷害半球のマイクログリアの反応についてもよく分かっていない。本研究では、一過性(90分)中大脳動脈閉塞によるラット脳梗塞モデルの発症後72時間で、フローサイトメトリーによる細胞分取を行い、これらの細胞のmRNA発現を検討し、それらの性質や役割の違いを明らかにした。CD68の発現がより高いことから、貪食能そのものはマクロファージの方が高い。また、マクロファージのMerTK、Protein S, 補体の発現は、マイクログリアより低く、マクロファージによる神経細胞貪食時のEat-me signal分子は、他の細胞から、あるいは血流中からの供給が考えられる。MerTK及びC1qのタンパク質量が虚血コアで少ないのは、貪食時にマクロファージが消化している可能性が考えられた。
Eat-me signal分子のmRNA発現は、正常脳及び正常脳由来分離マイクログリアで高く、静止型マイクログリアはこれらの分子の発現により、シナプス貪食など生理的機能に関わっていると考えられる。活性化型マイクログリアは、マクロファージよりEat-me signal発現が多い傾向があり、Eat-me signal供給源としての役割があるかもしれない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記概要の内容をもとに論文作成中である。

今後の研究の推進方策

これまでの研究結果から、脳梗塞辺縁部において、マクロファージとNG2+活性化マイクログリアが神経細胞の貪食に関わっていた。脳梗塞辺縁部で、アポトーシス神経細胞の認識、貪食には、MFG-E8/VNR、Gas6-ProteinS/MerTK、補体/CD11bのいずれの関与も考えられる。これらの系を抑制すれば、神経細胞死を抑制できる可能性があり、さらに研究を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

今後行う実験において、MCAOモデルに使用する実験動物、フローサイトメトリーに使用する各種試薬、抗体が必要である。また、実験結果を報告するための英文校正費、学会参加費が必要である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Comparison of the detrimental features of microglia and infiltrated macrophages in traumatic brain injury: A study using a hypnotic bromovalerylurea2018

    • 著者名/発表者名
      Abe N, Choudhury ME, Watanabe M, Kawasaki S, Nishihara T, Yano H, Matsumoto S, Kunieda T, Kumon Y, Yorozuya T, Tanaka J.
    • 雑誌名

      Glia

      巻: 10 ページ: 2158-2173

    • DOI

      10.1002/glia.23469

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Truncated CD200 stimulates tumor immunity leading to fewer lung metastases in a novel Wistar rat metastasis model.2018

    • 著者名/発表者名
      Kuwabara J, Umakoshi A, Abe N, Sumida Y, Ohsumi S, Usa E, Taguchi K, Choudhury ME, Yano H, Matsumoto S, Kunieda T, Takahashi H, Yorozuya T, Watanabe Y, Tanaka J.
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 2 ページ: 542-548

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2018.01.065

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 脳梗塞に対するIL-3/GM-CSFの混合投与による骨髄刺激療法有効性の検討2018

    • 著者名/発表者名
      松本 調、久門 良明、渡邉 英昭、田中 潤也、國枝 武治
    • 学会等名
      Stroke2018 (2018.3.15-3.18)福岡
  • [学会発表] ラット脳梗塞モデルにおける活性型および静止型マイクログリアと骨髄由来マクロファージの差異について2018

    • 著者名/発表者名
      松本 調、久門 良明、渡邉 英昭、田中 潤也、國枝 武治
    • 学会等名
      脳神経外科学会総会(2018.10.10-10.12)仙台

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公開日: 2019-12-27  

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