研究課題
若手研究
慢性炎症を背景とする動脈硬化などの種々の要因が及ぼす慢性脳虚血状態によって生じたくも膜の組織変性を病理学的な観点から解析した。検体は病理解析が可能であったのは74例であった。病理スライド上で厚さと線維芽細胞数、CD68陽性細胞数、CD86陽性細胞数、CD206陽性細胞数の平均値を測定した。くも膜肥厚群では各種サイトカインの発現増幅も認められた。くも膜の肥厚はくも膜の線維芽細胞や炎症細胞から分泌された各種サイトカインの影響によると考えられ、加齢が最も影響すると考えられた。
脳血管障害
国内人口の高齢化が進み、動脈硬化症による脳血管障害性疾患は増加傾向にある。その背景には糖尿病や高血圧、血管壁の粥腫形成など近年慢性炎症と関連すると報告されている疾患が多くみうけられる。今回の研究では加齢に伴う動脈硬化などが背景となって、慢性炎症がくも膜の肥厚を引き起こしたと考えられた。慢性炎症、慢性虚血性変化を起こしている脳では認知機能低下がみられることから、これらの慢性炎症をベースとした生活習慣病の是正は今後の被介護人口の増加を抑制すべく重要な事項であると考えられた。