本研究では、エストロゲン欠乏に伴う女性特有の筋萎縮に関してエストロゲン受容体βの作用に着目し、そのメカニズムを解明することを目的とした。ERβ-floxed マウスとドキシサイクリン依存的かつ筋線維特異的にCreリコンビナーゼを発現制御できるHSA-rtTA/TRE-Creマウスの交配によって骨格筋特異的ERβ欠損マウス(mKO群)を作出した。ERβ-floxedマウスをコントロール群(CON群)とし両群を比較した。我々は、これまでに6週令の若年期に筋線維特異的にERβをノックアウトを誘導し、CON群と比較してきた。CON群と比較してmKO群は雌のみ顕著な筋力低下を示した。筋重量は、雌マウス のTAで有意な筋重量低下がみられた。TAを採取しLamininによる筋横断面の免疫組織化学染色を行ったところ、mKO群において筋横断面積の顕著な低下がみられた。若齢期にみられたERβ欠損マウスの筋力低下や速筋特異的な筋重量低下は、性成熟したマウスではみられず、ERβは若齢期における筋力および速筋重量の維持に重要であることが示唆された。さらに、骨格筋におけるERβが糖代謝に影響するかを検討するため、6週令にERβをノックアウトしたmKO群とCON群に高脂肪食を与え糖負荷試験を行ったが、mKO群とCON群の両群に有意差は認めなかった。現在、生後すぐにERβをノックアウトした場合の糖代謝の影響を見たが、両群に有意差は認めなかった。
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