ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の母子感染において母乳以外の感染経路を明らかにするため、キャリア妊婦の胎盤組織におけるHTLV-1感染の状態を検討したところ、約半数で胎盤組織中にHTLV-1を検出し、母が人工栄養を選択した場合でも胎盤組織中にHTLV-1を認めた群の方が母子感染成立が多いことが明らかになった。さらにその分子機構として、母児の血液を隔てる胎盤関門を構成する栄養膜細胞がHTLV-1感染のターゲットになっていることが明らかになった。これらの研究結果は、新たな母子感染経路として経胎盤感染を示し、感染制圧に向けた新たな取り組みが必要であることを示している。
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