研究課題
腫瘍微小環境におけるPD-L1の発現評価は、生命予後や抗PD-1薬の効果予測に有用であるとされるが、その発現は不均一であり、生検検体による評価では不十分である。非侵襲的なPD-L1発現評価が可能か、未治療口腔扁平上皮癌44例に対し、FDG PET/CT検査ならびに末梢血可溶性PD-L1を測定し、手術検体における免疫染色によるPD-L1発現と比較検討を行った。結果、SUVmaxが高値でtexture analysisによるFDG集積が不均一な腫瘍は免疫細胞のPD-L1発現が有意に高値であり、CD68陽性細胞の腫瘍内浸潤を多く認めた。また、末梢血可溶性PD-L1値は免疫細胞PD-L1発現と有意な正の相関を示した。一方で、FDG PETならびに末梢血可溶性PD-L1値は、いずれも腫瘍細胞PD-L1発現との関連は認めなかった。腫瘍微小環境における免疫細胞のPD-L1発現の役割は不明であるが、腫瘍細胞のPD-L1発現と同様、腫瘍浸潤リンパ球の活性を抑制する役割があると考えられている。FDG PET検査ならびに末梢血可溶性PD-L1測定は非侵襲的な検査であり、手術前に腫瘍内の免疫細胞のPD-L1発現を評価することが可能であることが本研究で判明した。また、本研究において、糖代謝が不均一な腫瘍、あるいは、腫瘍内にCD68陽性細胞が多く浸潤する腫瘍は有意に生命予後が不良である結果が得られた。このことから、FDG PET検査ならびに末梢血可溶性PD-L1測定は、頭頸部癌患者の生命予後予測ならびに抗PD-1薬・抗PD-L1薬といった免疫チェックポイント阻害剤の効果予測の新たなバイオマーカーになることが期待される。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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