研究課題/領域番号 |
18K16881
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
扇 和弘 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (80464056)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ORMDL3 / B細胞 / アレルギー性鼻炎 |
研究実績の概要 |
ORMDL3過剰発現によるB細胞への影響のアウトプットとして、まずBCRクロスリンクによるNuclear factor of activated T cells(NFAT)産生に与える影響について解析を行った。ORMDL3およびNFATレポーター遺伝子をトランスフェクションしたB細胞をμ鎖特異的な抗IgM抗体で刺激し、ルシフェラーゼアッセイを用いてNFAT産生について評価した所、ORMDL3過剰発現によるNFAT産生への影響は確認されなかった。また細胞内シグナル伝達への影響についてウエスタンブロットを行い、ORMDL3のExtracellular signal-regulated kinase(ERK)およびc-jun N-terminal kinase(JNK)活性化に与える影響について解析を行った所、やはりORMDL3過剰発現による影響は確認されず、ORMDL3過剰発現はBCRを介するB細胞の活性化には影響しないと考えられた。 ORMDL3過剰発現細胞をThapsigarginで刺激し、小胞体ストレス応答経路について解析を行った。PKR-like endoplasmic reticulum kinase (PERK)およびInositol requiring 1 (IRE1)リン酸化についてはORMDL3過剰発現による影響は確認されなかった。ORMDL3過剰発現は小胞体ストレス応答経路において、少なくともこれら二つの経路については影響を与えていないと考えられた。 アレルギー性鼻炎の下鼻甲介粘膜組織におけるORMDL3の発現の違いについて免疫組織化学染色を行い検討した。肥満細胞については二重染色を行い確認したが、ORMDL3は主に上皮細胞において発現量が高く、肥満細胞での発現量は高くなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小胞体ストレス応答経路におけるORMDL3過剰発現の影響の解析のため、ATF6の下流に存在するLC3の活性化についてウエスタンブロットを行ったが、LC3は分子量が小さく今まで使用していたウエスタンブロット用のゲルでは検出できなかった。 ORMDL3過剰発現がB細胞の脂質代謝に与える影響について解析を行った。BCRクロスリンクによる刺激後のS1P産生に及ぼす影響について、S1P測定キットにより解析を行ったが、ラット肥満細胞において同様の実験を行った際と同じようにS1Pの測定はできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
LC3の解析については、ウエスタンブロットに用いるゲルを低分子量用のゲルに変更することにより解析を継続中である。S1Pの測定に関しては、今まで使用していた製品とは違う会社のキットによる測定を検討中である。 B細胞におけるORMDL3過剰発現による明らかな影響はまだ確認できていないため、今後はBCR受容体もしくは小胞体ストレス応答以外の経路に対する影響を確認していく予定である。具体的にはORMDL3がB細胞の生存シグナルに対してオートファジーを介して影響を与えているという報告があり、ORMDL3過剰発現がオートファジーに対する影響について解析していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度中に遂行できなかった実験計画を立て直し、次年度にその計画を行うため次年度使用額が生じた。ウエスタンブロット用のゲルやバッファーの購入、新たなELISAキットの購入、またこれまでの実験結果を英語論文として報告する費用として使用する予定である。
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