本研究では、まず安定して鼻腔粘膜細胞シートを作製する条件を検討した。従来の培地に加えてRho kinase inhibitor (ROCKi)を添加すると、十分量の細胞数を確保することができた。しかし、ROCKiが副次的に持つミオシンのリン酸化阻害作用も働いて細胞間接着が低下し、細胞シートに穴があく問題点が浮上した。そこで、ROCKi添加培地にCa2+を加えてミオシンのリン酸化を補填させると、細胞間接着強度が増し、細胞シートとして回収することができた。この細胞シートをコラーゲンゲル上に接着させて1週間培養して面積を測定すると、従来法よりも広く伸展しており、高い創傷治癒効果も期待された。
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