現在、我が国の主要な失明原因は緑内障や網膜色素変性など後眼部に存在する網膜が障害される疾患である。緑内障には眼圧下降による予防治療が行われているが、病変の首座である網膜神経線維細胞や視神経に対する治療法は実現していない。網膜色素変性に至っては有効な治療法が確立されていない。これらの疾患に対する網膜神経保護療法の一つの選択肢として、近年VCP蛋白のATPase活性を調整するKUS剤を投与することで神経細胞を保護できることが明らかになってきた。現在、硝子体内の注射剤として医師主導治験を実施中であるが、失明の主原因となる上記疾患に対しては、長期投与が必要となるため、薬剤の点眼化が切望されている。
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