研究課題
若手研究
緑内障濾過手術の術後成績には、手術で作成した濾過経路に生じる創傷治癒過程が強く影響する。本研究ではまず、局所の創傷治癒にfibrocyteを含む末梢循環単核細胞が関わることを示した。さらに、末梢循環単核細胞の局所への浸潤にMCP-1が関与することも示した。我々は既報においてMCP-1は濾過手術の予後不良因子であることを示しているが、今回の研究結果より創部局所における抗線維化抑制が効かない難治緑内障症例には、末梢循環細胞が関与していることが示唆された。
緑内障
緑内障手術の代表である濾過手術の術後成績は、手術で作成した濾過経路をいかに長期間維持できるかに依る。創部の線維化を抑制するために、線維芽細胞増殖抑制作用のあるマイトマイシンCを手術中に創部に塗布することで術後成績は飛躍的に向上したが、それでもなお過剰な線維化を生じる難治緑内障症例は存在する。本研究において我々が見出した、末梢血循環細胞が局所の線維化に関わるという知見は、マイトマイシンの影響を受けない線維化のメカニズムの存在を示唆し、新しい創傷治癒機序の解明の機会となることが期待される。